なぜ玄関の「高さ20cm」が基準なのか
住宅業界において、玄関の上がり框の高さは20cmがひとつの標準(目安)とされています。しかし、この数字はあくまで「バランスが取りやすい」という建築上の都合が先行している場合が多く、実際の生活者の身体的負担を深く考慮していないこともあります。
高さがもたらす身体への影響
20cmの段差は、健康な成人にとっては気にならない高さですが、加齢により筋力が低下したり、腰に不安を抱えたりすると「大きな壁」に変わります。無理な体勢で昇り降りすることは、膝や腰への負担を増大させ、転倒のリスクも高まります。玄関は毎日必ず利用する場所だからこそ、数ミリの差が数十年後の生活の質に直結するのです。
後悔しないための「理想の玄関高さ」とは
使いやすい玄関を設計するためには、ライフスタイルと身体の状態を長期的なスパンで考える必要があります。
15cm〜18cmが推奨される理由
バリアフリーの視点では、上がり框の高さは15cm〜18cm程度に抑えるのが理想的です。これ以下の高さになると、今度は土間への出入りの際に前傾姿勢が強くなりすぎてしまうため、腰への負担が増す可能性があります。ご家族の身長や身体状況にもよりますが、多くの専門家や高齢者住宅の基準では、この「少し低め」の設定が推奨されています。
玄関断熱の盲点に注意
玄関の高さを決める際、意外と忘れられがちなのが「玄関ドア下の断熱性能」です。基礎断熱や土間の仕様によっては、玄関からの冷気が直接足元に伝わることがあります。どれだけ上がり框の高さを調整しても、玄関自体が寒ければ、靴の着脱も億劫になってしまいます。高気密・高断熱住宅を建てる際は、玄関ドアの性能や土間の断熱処理までセットで検討することが欠かせません。
将来を見据えた玄関設計の重要ポイント
家を建てた時点では完璧な設計でも、住む人の年齢とともに「必要な設備」は変化します。
手すりの設置場所をあらかじめ想定する
今の時点で手すりが必要なくても、将来的に後付けできるよう「下地」を入れておくことが極めて重要です。玄関の壁に補強下地があるだけで、数年後の手すり工事が格段にスムーズかつ安価になります。
玄関の広さと使い勝手のバランス
「広い玄関」は魅力的ですが、広さだけで満足してはいけません。以下の要素が確保されているか確認しましょう。
- 靴の着脱をサポートするベンチ(または椅子が置けるスペース)
- 荷物を置けるカウンターの高さ
- 暗くならないための十分な採光
FAQセクション:玄関設計のよくある疑問
Q1. すでに標準の20cmで契約してしまいました。変更すべきでしょうか?
A. 工事の進捗状況にもよりますが、設計変更が可能かすぐに担当者に相談しましょう。もし変更が難しい場合でも、将来的に踏み台を置くスペースを確保したり、昇り降りを助ける手すりの配置を工夫することで対策は可能です。
Q2. 玄関の高さ以外に気をつけることはありますか?
A. 床材の滑りにくさは重要です。濡れた靴で上がった際に滑りやすい材質だと、段差の高さに関係なく転倒リスクが高まります。防滑性の高いタイルなどを選ぶと安心です。
Q3. 手すりはどの位置に付けるのがベストですか?
A. 基本的には、靴を脱ぎ履きする際に利き手をサポートできる位置が良いでしょう。上がり框に対して垂直方向と並行方向の両方を意識し、立ち上がる動作をサポートできる場所に配置するのが理想です。
次にとるべき行動
- 現在の設計図を確認する:今の計画の上がり框の高さが何センチになっているか確認しましょう。
- モデルハウスで体験する:三重県内の住宅展示場などで、実際に框の高さが異なる物件を体験し、自分の感覚に合う高さを探してみてください。
- 担当者に「将来の補強」を相談する:今すぐに手すりを付けなくても、「将来的に手すりを付けるための下地を壁に入れてほしい」と伝えてください。これは設計初期段階でしかできない大切な準備です。
関連トピック(元動画)

7代目社長の後悔しない家づくりch
数多くの家づくりをしてきた北山建築7代目棟梁が、お客様に寄り添う一生ものの家づくりをコンセプトに、「建てた後も後悔のない家づくり」ができる情報をお伝えしていきます!
北山裕史のプロフィール
1967年3月2日、北山家の長男として生まれ、小学、中学、高校時代は勉学以上に野球に打ち込み、挨拶、礼儀、人間関係の大事さを学ぶ。地元松阪工業を卒業後、父の勧めで石田建築へ大工修行に入り、28歳で自身初の棟梁として棟上げを行い北山建築7代目棟梁となる。
その後34歳で家業から企業へと方向転換し2001年5月21日「有限会社北山建築」を設立。現在も一貫した「お客様との一生涯のお付き合い」を合言葉に顔の見える家づくりを展開中。


